VR(仮想現実)・MR(複合現実)ヘッドセットでは、没入感と双方向性を高めるためにさまざまなテクノロジーが利用されています。そこに含まれるのが、ジェスチャーコントロールとハプティックフィードバックです。
この2つは、デジタルとリアルを融合してユーザーエクスペリエンスと楽しさを高める機能です。記憶への定着や差別化を推進したり、VR/MRでの生産活動やクリエイティビティを高めたりといった、ビジネス成果を大幅に高める側面もあります。
ここでは、ジェスチャーコントロールとVR/MRのハプティックフィードバックが組織にもたらすメリットについて考えてみます。
VR/MRでジェスチャーコントロールを使えば、自由度が高まります。メタバースにいる間、コントローラーを使う必要がなくなるからです。自然に手を動かしてオブジェクトを操れるほか、手とコントローラーを切り替えることもできます。アバターの動きの見え方がよりリアルになるというメリットもあります。
ジェスチャーコントロールは、Meta Questヘッドセットのインサイドアウトカメラを使用することで機能します。このカメラが手の位置、向き、指の配置を検知してトラッキングするしくみです。Meta Questでは、Direct Touchにより、パネルを指で直接タップしてスクロールできます。物理的なタブレットと同じようにコンテンツをスワイプしたり、オブジェクトをタップしたり、パネルを動かしたりできます。ジェスチャーコントロールの多くは、慣れ親しんだ「ピンチ」ジェスチャーがベースになっています。VRやMRで他の人がこのジェスチャーを使っているのを見たことがあるのではないでしょうか。
VR/MRコントローラーのジェスチャーコントロールは、[設定]>[動きのトラッキング]>[ジェスチャーコントロールとボディトラッキング]でオフにすることで、いつでも無効にできます。無効にした場合、Meta Questは手の代わりにヘッドセットとコントローラーの位置と向きをトラッキングするようになります。
VR/MRのハプティックフィードバックは、メタバースで感触を再現し、メタバースの中での見え方と体の感じ方をリンクさせるためのものです。
ハプティックフィードバックには、例えば、ビデオゲームですでに広く使われているバイブレーションなどがあります。バイブレーションは、ユーザーが何かをタップしたときにハプティックフィードバックを返すためにも使われており、スマートフォンやスマートウォッチでは一般的になっています。さらに、VR/MRのアプリで双方向性や感触を強める目的でもハプティクスが使用されています。例えば、バーチャルな扉を押したときの抵抗感を再現するなどです。そのほか、VR/MR体験の印象を強めるために雨が降っている感じを再現するなど、もっと高度な使い方もあります。
Meta Quest Touch ProコントローラーとMeta Quest Touch Plusコントローラーでは、TruTouchハプティクスを使用してフィードバックのリアリティを高めています。トリガー、親指レスト、グリップに組み込まれたセンサーが、人差し指を曲げたり滑らせたりするわずかな動きを検知するしくみです。TruTouchハプティクスは、コントローラーが手の一部のように感じられるようにすることを目的としています。
MRのジェスチャーコントロールとハプティックフィードバックは、ビジネスにさまざまなメリットをもたらします。
直感的なトレーニングを実現できる: 没入感を味わえるため、頭よりも体で学ぶことができます。ハプティクスとジェスチャーコントロールを使ってバーチャルシミュレーションでトレーニングをしたほうが、実際にその状況ですべき行動が定着しやすくなるのです。調査では、VR/MRシミュレーションによってスキルの実践的な応用に自信が持てるようになったと60%の人が回答しました。エネルギー・公益事業セクターでは、この割合は82%に上ります1。
アクセシビリティを改善できる: タッチスクリーンやキーボードよりもジェスチャーコントロールのほうが使いやすいという従業員もいるでしょう。特に、コントローラーを使うのが難しい人や認知に課題がある人などです。
クリエイティビティを発揮できる: 新たな方法で業務をすることで、組織内でクリエイティビティが発揮され、イノベーションの加速やROIの上昇が期待できます。例えば、ある調査では、VR/MRが組織内でのイノベーションを加速させるのに役立つと答えた人が76%に上っていました2。
生産性が向上する: より手触りを感じられるようになって、製品設計、製品試験、修正サイクルのスピードが向上します。グローバルなスナック菓子ブランドのMondelēzは、VR/MRを使って3Dコンセプトの設計フェーズを週単位から時間単位に短縮しました。
差別化できる: ジェスチャーコントロールとハプティックフィードバックは、潜在的な従業員や顧客に対するアピール材料になる可能性があります。特にマーケティングや採用活動で利用すると効果的です。
製品試験に利用できる: ジェスチャーコントロールはバーチャルな製品試験に利用できます。その場合は、消費者にVR/MR環境で製品を試用して評価してもらうのにハプティックフィードバックが役に立ちます。
ジェスチャーコントロールとハプティックフィードバックには、次のような活用事例があります。
Pfizerは、医療現場の滅菌トレーニングにジェスチャースピードトラッキングとハプティックフィードバックを応用しています。例えば、操作者がVR/MRシミュレーション内で手の使い方を誤った場合は、Meta Questヘッドセットが振動して注意喚起します。
Vehicles for Changeは、バーチャル空間で指導員が15の重要なタスクを教える、整備士向けのVR/MRトレーニングシミュレーションを開発しました。各タスクは、本物の整備工場を使わずに複雑な作業を実際に手を動かして反復させる内容にし、ピンポイントの精度で作業できるようにするために、正確な手の動きを求める仕様にしました。
シンガポールのThe Centre for Healthcare Innovation (CHI)は、看護師のトレーニング用に本物そっくりの採血室をVR/MRで再現しました。視覚、聴覚、触覚で現場を感じられるようにしてVR/MRトレーニングを充実させた結果、参加者全員から好評価を得ることができました。
Meta Horizon Managed Solutionsでバーチャルリアリティ(VR)と複合現実(MR)を活用して、組織の規模を拡大する方法をご紹介します。Metaの成功事例を参考に、VRとMRを活用して働き方と教育の未来を構築する方法をご確認ください。Meta for Workの利用は簡単に始められます。
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