ホスピタリティ分野でVRを活用する4つのメリット

ホスピタリティ分野で中心的な役割を果たすようになっているVR(仮想現実)は、従業員のトレーニングや業務運営、印象に残るゲスト体験づくりに対する考え方を見直すのに役立っています。
詳しい説明に入る前に、VRが今、ホスピタリティ分野にどのような変化をもたらしているか、4つのポイントを簡単にご紹介します。
- トレーニングの短縮と共感力の育成: 従来4時間かかっていた接客トレーニングの対面セッションを、VRによって20分程度に短縮。企業チームと現場チームの間で共感と理解を深めることができます。1
- より充実したゲスト体験: VRエンターテイメントやサービスをパーソナライズし、機内体験から客室で楽しめるVRアドベンチャーまで、滞在を忘れられないものにします。
- 透明性が高いバーチャルツアーで予約時の安心を確保: 予約に伴う不確実性を減らす手段としてVRホテルツアーが登場。期待と現実のギャップをなくし、広告の正確性を高めます。
- アクセシビリティとインクルージョンの向上: VRは、障がいのある方、言葉の壁がある方、移動の制約を抱える方に旅行やホスピタリティ体験を届け、よりインクルーシブなサービスの提供を後押ししています。
VRはホスピタリティ業界にどのような変化をもたらしているか
ホスピタリティ業界は転換期を迎えています。主要な観光地では国際的な観光や投資が増加しており2、プレミアムな体験やアクセシビリティ、テクノロジーへの投資も新たに進んでいます3。
この進化する業界で、新たなソリューションとして注目されているのがVRです。Lufthansa、Hilton、Airbnbなどの大手ブランドは、顧客体験の向上と業務の合理化のために、没入型テクノロジーを導入しています。このような変化は業界全体のトレンドを示すもので、テクノロジーマーケットリサーチ会社CCS InsightがMetaの委託で実施した調査によると、通信分野とホスピタリティ分野の社員100%が、今後自分の役割でVRを活用すると予想しています4。
このような熱意を裏付けるビジネス上の根拠もあります。Forrester Consultingが2025年に実施したTotal Economic Impact(総経済効果)調査によると、Meta Questヘッドセットを利用している企業は、3年間で420万ドルの正味現在価値、219%の投資収益率、610万ドルの総利益を達成しました5。こうした成果からも、VRがなぜあらゆる規模のホスピタリティビジネスにとって、欠かせないテクノロジーになりつつあるのかがわかります。
ここからは4つの重要分野を取り上げて、ホスピタリティ分野でのVR活用と、それにより業界がどう変革しているかを詳しくご紹介します。
1. ホスピタリティ分野でのVR活用が、トレーニングの短縮と共感力の育成にどう役立つか
トレーニングは、ホスピタリティ分野でVRが最も力を発揮する領域の1つです。フロント業務のシミュレーションやハウスキーピングのシナリオから、緊急時の対応、外国人ゲストへのサービスまで、Meta Questヘッドセットを使えばリアルなトレーニングをホテルのスタッフに実施できます。特にホスピタリティのソフトスキルのトレーニングでVRを活用すると効果的です。ホスピタリティ分野での成功に欠かせないのが、共感力、コミュニケーション、そして文化的な配慮なのですが、こうしたスキルは教えるのが難しく、実践するとなるとさらにハードルが高くなります。VRを使えば、難しいゲスト対応を練習し、フィードバックを受けながら、何度もシナリオを繰り返すことができ、自信も自然についてきます。
学習モジュールは、多言語のチームやさまざまなホスピタリティ環境に合わせて調整できるため、オンボーディングの時間を短縮し、トレーニング効果を高めることが可能です。また、直接的なトレーニング効果だけでなく、長期的な運用上のメリットもあります。マネージャは、VRによる社員トレーニングセッションから得られる指標やデータに基づいて進捗を管理し、社員の能力を継続的に高めていくことができます。
こうした効率化によるメリットはかなり大きく、Forrester ConsultingのTotal Economic Impact調査では、VRによってタスクワーカーのトレーニングを最大75%、ビジネスユーザーのトレーニングを最大50%短縮できることがわかりました6。この結果を受け、CCS Insightの調査によると、ホスピタリティ・娯楽業界の31%が現在、オンボーディングとスキルトレーニングにVRを利用しています7。
HiltonがVRをどう活用し、共感力を育て業務を改善しているか
本社やオフィスのホスピタリティ従業員は、ホテルの現場業務を間近で体験する機会が限られています。このギャップを埋めるためにHiltonが開発したのが「Hotel Immersion」というVRトレーニングプログラムです。このプログラムでは、従業員が日々のホテルのワークフローを体験できます。例えば、オフィススタッフがMeta Questヘッドセットを使って、ルームサービスの準備やゲストのチェックイン、ホテルルームのクリーニングなどの現場の業務を没入体験できます。
HiltonのVR従業員トレーニングは、ソフトスキルを実践できるだけではありません。制限付きシミュレーションとして62の清掃作業がまとめられており、ハウスキーピングの身体的負担も体感できます。オフィススタッフは、コーヒーメーカーが壊れた、サービスが遅くなった、といったシナリオを通じて、現場が直面している課題を現場のチームメンバーやゲストの立場で体験することができます。
その成果は非常に大きく、参加者の94%がチームメンバーへの共感が増したと回答。75%が問題解決スキルの向上を実感しています。
2. ホスピタリティ分野でVRを活用することで、没入型エンターテイメントのゲスト体験がどう向上するか
VRが変革しているのはトレーニングだけではありません。没入感の高いパーソナライズされたエンターテイメントやサービスを提供することで、従来のホスピタリティを超えたおもてなしを実現。ゲスト体験そのものを変革しています。こうしたテクノロジーにより、ゲストは滞在内容をカスタマイズしたり、ツアーを事前に確認したりできるほか、バーチャルコンシェルジュサービスを利用して、より自分に合った体験を楽しむことが可能です。
客室で楽しめるVRアドベンチャーや周辺観光スポットの事前体験、インタラクティブなエンターテイメントやバーチャルなウェルネスセッションなど、ゲストを楽しませる独自のエンターテイメントオプションもVRによって実現。イベント開催の体験も向上します。例えば、ゲストやプランナー、参加者がバーチャルなイベント空間を歩き回ったり、ハイブリッド会議に参加したり、リモートでアクティビティに参加したりできます。
Lufthansaがビジネスクラスの乗客にVRエンターテイメントをどのように提供しているか
Lufthansaはすでに、Meta Questを使って没入型スタッフトレーニングを実施するとともに、新たに導入したファーストクラスとビジネスクラスの座席を体験型展示で紹介してきました。そして2025年には、航空会社として初めて、商用の機内環境でVRの提供に踏み出しました。MetaおよびMSM.digitalと連携し、一部のフライトのAllegrisビジネスクラススイートにはMeta Questヘッドセットが導入されています。
乗客は、没入型エンターテイメントを、従来の小さなスクリーンや限られたコンテンツオプションに縛られずに体験できます。Meta Questを通じて新たに提供される厳選スイートには多彩な体験が用意され、映画やテレビ番組によるシネマ体験、空間ビデオで強化されたトラベルポッドキャスト、Connect Fourやチェスなどのインタラクティブな体験を楽しんだり、リラクゼーションのためのガイド付き瞑想エクササイズで、穏やかな時間を過ごしたりすることができます。
Meta Questはワイヤレス設計なので、座席に座ったまま快適にVRエンターテイメントを楽しむことができます。フルカラーの
3. ホスピタリティ分野でのVR活用が、予約時の安心を確保できる透明性が高いバーチャルツアーをどう生み出すか
バーチャルツアーは、利用者が安心して予約できるようにするための手段として、今のホスピタリティマーケティングには欠かせない存在になっています。VR(仮想現実)を活用したホテルツアーでは、ホテルの客室や共用スペース、アメニティを、360度ビューや没入型ウォークスルーで案内します。これにより、宿泊を検討中のゲストが、ホテルのリアルな雰囲気や設備を事前に確認することができます。
このようなVRツアーでは、ただ見るだけでなく、インタラクティブな体験、例えば部屋のレイアウトの切り替えやインテリアのオプションの変更が可能です。さらに、アクセシビリティ機能を確認したり、動画や3Dビジュアルなどの埋め込みコンテンツにアクセスしたりすることもできます。バーチャルツアーは、ウェブサイトやソーシャルチャネル、イベントプランナーなどの魅力的なブランドアセットとしても活用でき、競争の激しい市場で施設の魅力を際立たせるのに役立ちます。
大規模展開を検討しているホスピタリティ企業には、複数の拠点で一貫してVR体験をデプロイ・管理するためのインフラが必要です。それを支えるのがMeta Horizon Managed Solutionsです。
顧客満足度をさらに高められる可能性は大いにあります。2025年のAirbnbの施設バーチャルツアーに関する調査で、高度なデータ収集機能を使って、ツアーがゲストにどう受け取られているかを分析したところ、バーチャルツアーと実際の体験を組み合わせることで、広告の正確性に対する顧客満足度が高まることが明らかになりました8。
4. ホスピタリティ分野でのVR活用がアクセシビリティとインクルージョンをどう高めるか
VRにより、ホスピタリティサービスや環境は、障がいのある方、言語の壁のある方、移動の制約のある方にとってさらに利用しやすくなります。ゲストは没入型テクノロジーを活用することで、施設の車椅子ルートを確認したり、ホテル内をリモートで移動したり、高度なナビゲーション・翻訳機能を使ってデジタル空間を利用したりできます。
Meta Questは、バーチャルツアーの中でリアルタイム翻訳や音声ガイド、視覚的手がかりを提供し、母国語が異なる方やさまざまな能力の方が快適に利用できるようにします。このようにアクセシビリティを拡充することで、ホスピタリティプロバイダーに新たな市場をもたらすとともに、インクルーシブなサービスに取り組んでいる姿勢を幅広い利用者に示すことができます。
VR観光が障がいのある方のアクセスをどう広げるか
VRが障がい者・高齢者向け観光を変革する可能性は、研究によって裏付けられています。2023年の研究では、障がいのある方がVR観光をどのように受け入れ、利用するかを理解するための概念モデルが作られ、障がいの種類と程度、身体的なサポートの必要性、アクセシビリティ設計といった要因が調査されました。これらはすべて、VRを旅行体験に利用するかどうかに影響を与えます9。
研究結果は有望なものです。VR観光では、障がいのある方が、距離や費用、身体的な制約によって行くのが大変な場所にも、価値のある形でアクセスできます。この研究は、丁寧にデザインされたVRアプリが、障がいのある方の旅行機会や社会的交流を大幅に広げられることを示しています。これには、個々のニーズへの対応、介助者の関与のサポート、アクセシブルな設計の導入などが含まれます。
これらのインサイトから、こうした体験を実現するには適切なツールとプラットフォームが重要であることがわかります。Meta QuestヘッドセットとMeta Horizon Managed Solutionsは、アクセシブルな体験を組織が大規模に実装するためのインフラを提供します。
Meta for Workでつながる
Meta Horizon Managed SolutionsでVR(仮想現実)とMR(複合現実)を活用して、組織の規模を拡大する方法をご紹介します。Metaの成功事例を参考に、VRとMRを活用して働き方と教育の未来を構築する方法をご確認ください。
業務へのVR活用に関するその他の記事:
仕事に最適なVRヘッドセットを選ぶ
VRで大きく変わるチームビルディング
働き方の未来を形作る6つのイノベーション
出典
- A new perspective on hospitality: How Hilton uses VR to teach empathy、Meta、2020年(https://tech.facebook.com/reality-labs/2020/3/a-new-perspective-on-hospitality-how-hilton-uses-vr-to-teach-empathy/)
- RSM UK、Leisure and hospitality industry outlook、2024年(https://www.rsmuk.com/insights/consumer-outlook/leisure-and-hospitality-industry-outlook)
- Bianca Lüthy著、Hospitality Industry Trends For 2025、EHL Insights、2025年6月(https://hospitalityinsights.ehl.edu/hospitality-industry-trends)
- Metaの委託によるCCS Insightの調査(2024年)
- The Total Economic Impact of Meta Quest、Total Economic Impact™Report、Metaの委託によるForrester Consultingの調査、2025年6月。調査結果はインタビュー対象企業を基にした複合組織のデータに基づいています。
- The Total Economic Impact of Meta Quest、Metaの委託によるForrester Consultingの調査、2025年6月。調査結果はインタビュー対象企業を基にした複合組織のデータに基づいています。
- Metaの委託によるCCS Insightの調査(2024年)
- Huimin Liu、Wesley S. Roehl共著、Do virtual tours really enhance customer satisfaction with physical experiences?A quasi-experimental study on Airbnb、Journal of Hospitality and Tourism Management、Volume 62、2025年、188~195ページ(https://doi.org/10.1016/j.jhtm.2025.01.010)
- Iftikhar, R.、Khan, M. S.、Pasanchay, K.共著、Virtual reality tourism and technology acceptance: a disability perspective、Leisure Studies、42(6)、2022年、849~865ページ(https://doi.org/10.1080/02614367.2022.2153903)


